VOL34 建築的羅生門
2005/12/10


建売住宅などの欠陥がマスコミにクローズアップされるたびに
「はたして、戸建て住宅だけが問題なのだろうか」と常々感じていたところ、
マンションやビジネスホテルの「構造計算書偽造問題」が発覚し
日本中を震撼させる問題にまで発展しています。

なぜあの構造設計者は、構造計算書偽造をやったのだろうか?
「コストを下げるプレッシャーがあった」と言うが、それは建築設計者であれば
大なり小なりコストに関する問題は、付きまとうものです。
計算書を偽造することであの構造設計者にメリットがあるのかというと、ほとんどないはず。
正規の構造計算書と偽造した構造計算書のふたつを作成しなくてはならないのだから、
手間も倍かかる。
ということは、単なるプレッシャーだけではないということ。

これらの問題に関わったデベロッパー、ゼネコン、建築コンサルタント、そして設計者。
さらに偽造した構造計算書を見抜けなかった民間確認検査機関や特定行政庁。
最終的に被害を被るのは、マンション購入者であるエンドユーザー。

デベロッパーの社長が偽装計算書を知らないわけはない。
ゼネコンの社長や現場の監督や職人もおかしい?と感じていたはず。
カリスマ性で商売する得体の知れない口先で稼ぐ建築コンサルタント。
さまざまなプレッシャーに負けた設計者。
「性善説」を理由に自らの過失を逃れようとする審査機関や行政。

それぞれが保身のために大きく異なる当事者たちの会見。
それはまるで黒澤映画の現代版「羅生門」のようだ。

チカラとカネで言うことを聞かせようとする主従関係体質の建設業界。
昨日今日、このような関係が生まれたわけではありません。
脈々と培ってきた日本の建築業界の土壌の中で生まれたものです。
それが白日のもとに晒されたにすぎません。
密室の中ですべてを決定し真実を闇の中に隠し、価格競争の中で
広さと安さをキャッチフレーズに何もしらない購入者を背く常套な手口。

この問題は、マンションなどがクローズアップされていますが住宅でもおなじです。
広さと安さだけを売りにするということは、必ず裏があるってことです。

わたしたちの独自の工法だから・・・
いい加減な工法ってこともあります。

わたしたちの独自の販売ルートだから・・・
誰も使わないような粗悪な材料ってこともあります。

設計料は安くさせて頂きます・・・・
下請け設計事務所を安く使って、プレッシャーをかけるってこともあります。

コレだけ値引きさせていただきます。
これだけ手抜き工事をさせていただきますってこともあります。

設計から施工まですべて私たちがやりますので、ご安心ください。
契約まで親切であとは、ぬるま湯の人間関係の中で下請けまかせってこともあります。

本来、設計監理と施工は対峙する関係です。
勝手な思い込みと未熟な技術、うっかりミスのまま現場が進むこともあります。
知識のない検査機関の検査員もいます。

わたしは、建築においては「性悪説」というスタンスです。
人は必ず間違いをします。
うっかりミスもします。
なかには、良からぬ考えをもつ者もいます。

設計者は、冷静に客観的に判断する能力も必要です。
あの構造設計者は、偽造構造計算書作成のプレッシャーを受けたとき
「それは、わたしのやる仕事じゃない」ってなぜ毅然といえなかったのか。

わたしたちは、これからもインデペンデントな立場で常にクライアント(建築主)の
財産と利益を守り快適な家づくりを目指します。


今回の偽装問題、
柴又の寅さんならきっとこう言うに違いない。

「それをやっちゃ、おしまいよ!」って。




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